遺産分割協議で必要な相続人を確定させる方法

遺産分割協議はすべての相続人の参加が必要

相続人を確定する方法

 

遺産分割協議は相続人全員で行わないと意味がありません。
相続の公平性を担保するために必要な措置です。

 

例えば仲の悪い相続人を敢えて外して、遺産分割協議を行うとします。
当該の相続人の相続分をゼロと決めてしまったらどうなるでしょうか。

 

 

勝手に決められて、相続分をゼロにされたら怒り狂うに決まってるよ。
俺だって同じことされたら、裁判所に訴え出ると思うよ。


 

勝手に遺産をゼロにされた相続人は、怒り大トラブルへと発展する可能性が高いです。
この様な争いや不公正な遺産分割を防ぐために、相続人全員参加が絶対となっています。

 

相続手続きの段階で知らない家族が出てきた

また・・・
家族が知らない相続人が出てくる可能性もゼロではありません。

 

  • 実は再婚である事を隠していて、前婚にも子供がいる
  • 実は隠し子がいて、被相続人が認知していた
  • 知らない内に養子を入れていた

 

普段の生活で自分や親の戸籍を見る事はまずありません。

 

相続する時に、数十年ぶりに戸籍を取り寄せると、
この様な知らない家族が増えていた・・・
等と言うケースも相続では珍しくないです。

 

 

初婚だと思ってたお父さんが、再婚だったなんて・・・
しかも向こうにも子供がいるとはね。
それを死ぬまで黙ってるなんて、騙されたようだよ。


 

遺産分割協議に必要な相続人を確定させる方法

相続人を確定する方法は戸籍を調べる事を説明する4コマ漫画
相続人を確定させる方法は一つです。

 

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 相続人の最新の戸籍謄本

 

被相続人の戸籍を最後から生まれた所まで丁寧に辿って行きます。

 

  • 被相続人の子供・孫
  • 両親
  • 兄弟姉妹
  • 認知した子供
  • 養子

 

戸籍に掲載されている被相続人の家族構成を確認していきます。

 

被相続人の戸籍の調査が終われば、今度は相続人の戸籍を辿って行きます。

  • 子供が亡くなっていたら孫がいるか
  • 両親は健在か
  • 兄弟は居るのか
  • 兄弟で亡くなっている人は居ないか
  • 亡くなった兄弟に子供(甥姪)が居るか

 

この作業を相続人が確定する所まで戸籍を取り寄せていきます。

 

 

関連記事:相続人の範囲

 

 

想像以上に手間と時間が掛かる作業です。

 

 

相続に必要な戸籍を集めるのに、大体で3週間から4週間ほどかかります。
意外と時間と手間がかかるものです。


 

被相続人の戸籍は1枚だけではダメな理由

被相続人の戸籍の流れ
被相続人の戸籍は、最後の1枚だけ見ても全体像が明らかになりません。
その理由は戸籍謄本に掲載された情報は、必要最小限しか載らないからです。
(役所が不要と判断した部分はカットされていきます)

 

例えば上記の図で説明すると
被相続人の出生は、両親の戸籍の中に入っています。

 

結婚すると、独立した新しい戸籍が誕生します。
子供が生まれると、被相続人の夫婦の戸籍に入ります。

 

離婚すると別の戸籍が作られることもあります。
(籍を抜けた人が親の戸籍に戻らなければ)

 

あと引っ越しの度に本籍地を動かすと、新しい戸籍になります。
(本籍地は好きな場所を選ぶことが可能)

 

 

戸籍を異動させると離婚歴を見えなくするテクニックを使って、バツイチであることを隠す人も。


 

また子供が独立して結婚すると、両親の戸籍から抜けていきます。
(子供が抜けると戸籍に名前が載らない)

 

 

この様に戸籍は人生の節目節目で新しいものが次々と作られていきます。
最新のものには必要最小限の情報しか載らないので、全部の戸籍が必要になる訳です。


戸籍調査で注意が必要な養子と認知

戸籍で養子と認知は注意が必要
戸籍調査で特に見落としがちな項目をご紹介します。

 

  • 養子縁組
  • 認知

 

養子と認知は、非常に分かり難い場所に書かれる上、戸籍が移れば内容は抹消されています。

 

戸籍上の認知

認知は認知された子供の戸籍は、元の母親の戸籍に入ったままです。
父親の戸籍には入りません。

 

戸籍の記載は、認知時に戸籍の身分事項欄に被認知者(子供)の本籍と指名が記載されるだけです。
被認知者の戸籍にも、身分事項欄に認知された事実が記載されます。

 

問題は、認知はここ1回だけしか戸籍に載らないことです。
本籍を動かしたりした場合は、キレイさっぱりと姿を消してしまいます。

 

 

認知したなんて、カミさんに知られたらヤバい物を残しときたくないな。


 

戸籍調査をする際には、認知した子供が居ると聞かされて居なければ、見落としてしまいがちな内容です。

戸籍上の養子縁組

養子縁組の場合も戸籍に載るのは1回きりです。
次の戸籍に移ったら、キレイさっぱりと姿を消してしまいます。

 

養親縁組も認知と同様に身分事項欄にちょろっと書かれるだけです。
戸籍調査をする時は、家族の欄を見るだけではダメだと言うことです。

 

実際に相続では、どんな戸籍を集めるのか

ここからは、戸籍調査で集める戸籍例をシンプルな物と複雑な事例の2パターンご紹介します。

  • まずは親子だけが相続人のシンプルな物から

相続の戸籍調査の例、相続人が親子の例

 

この事例では、

  • お父さんの戸籍を死去から出生まで
  • 息子さんの最新の戸籍
  • お母様の最新の戸籍

 

上図の事例は、お父様が亡くなって相続人がお母様と息子さんになります。
まずはお父様の戸籍を洗い、相続人が息子さんとお母さま以外居ないかを確認します。

 

つぎに息子さんが存命なら、最新の戸籍を取得します。
逆に既に亡くなっている場合は、孫が居ないかを戸籍でチェックしていきます。

 

お母様の戸籍は、本人確認書類の意味合いで必要になります。

 

  • 複雑な兄弟相続の事例

兄弟相続の戸籍集めは大変
次は兄弟が相続する場合の戸籍です。

 

背景としては

  • 両親は両方とも他界
  • 今回、兄弟の一人が死去
  • 被相続人に子供や孫は居ない
  • 残っているのは兄弟のみ

 

この事例では最初に、被相続人の出生から他界までの戸籍を集めます。
理由は、被相続人の配偶者や子供、孫が居ないかを調べる為です。

 

次に両親の戸籍を出生から死去するまで収集します。
両親は既に他界しているので、相続権はありませんが・・・
被相続人の兄弟が何人いるのかを戸籍で確認する為です。

 

それが終われば、兄弟の最新の戸籍を集めます。
すでに亡くなっている兄弟が居る場合は、子供(甥姪)が居ないかを確認します。

 

この様に第3順位の兄弟姉妹の相続は、想像以上に戸籍調査に手間が掛かります。
この場合は普通に4週間以上の時間が欲しい所ですね。

 

 

遺産分割協議で必要な相続人を確定させる方法でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。