【遺言書の効力】期間の期限や無効になるケースはあるの?

【遺言書の効力】期間の期限や無効になるケースはあるの?

遺言書に有効期限はあるのか?

遺言書の有効期限
この記事は、古い遺言書(例えば10年前)に効力があるのかをご紹介します。

 

遺言状に有効期限があるのか?
答えを先に言います。

 

  • 形式さえ整っていれば、遺言書に有効期限はない。
  • 新しい遺言書が出てきた場合、矛盾する部分については新しい遺言書が適用
  • 相続人全員の納得で遺言状以外の分け方も可能

 

遺言書の有効期限に関する4コママンガ

 

 

先日に亡くなった父の遺言状が出てきたんだですよ。
ただ日付が10年前になっていました。
多分海外旅行に行く前に書いたものだと思うんです・・・


 

 

ほう・・・10年前の遺言書が出てきたんですね。
遺言書は全文が自筆で書かれて、日付と印鑑がありますか?
遺言書の形式が整っていれば、有効期限はないんですよ。


 

 

遺言書は義父が全部、自筆で書いたようです。
あと日付もちゃんと入ってるし、印鑑も押印されてる
じゃあ、これは正式な遺言と言う訳ですね。
困ったな・・・・・・


 

 

困ったと仰るのは・・・
遺言書に書かれた財産がもう無かったり、家族構成が変わってしまったのですか?


 

 

はい・・・
10年前にあった家は、広くなり過ぎたので売却しました。
だから遺言状書かれた家がもう無いんですよ。


 

 

なるほど・・・
このまま分けると不公平な遺産分割になりそうですね。
この場合、相続人全員の承諾があれば、遺言書とは違った分け方も可能ですよ。


 

 

遺言状以外の分け方もできるんですね!
良かった!これで相続人どうしでケンカすることも無さそうだわ。


遺言状に有効期限が存在しない

10年前以上の遺言書

 

 

この様に遺言者が昔に作成した遺言書が出てくることは珍しくありません。
問題は図にもある様に当時あった財産が亡くなっていたり、逆に載っていない財産が増えたりしている場合です。

 

遺言書自体は、法律に則った形式で書かれていれば、有効期限が存在しません。

 

極端な話、30年前に最初の子供ができた時に書いた遺言書も、形式が正しければ効果を発揮すると言う訳です。
(夫が海外に出張する前に念の為に作った遺言書が残ってたみたいな事例)

 

民法第968条第1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者が,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くことをいいます。)して,これに印を押さなければならないものと定めています。

 

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html

 

引用元:法務省の自筆証書遺言に関するルール

 

 

この様に全文、日付、氏名を自筆で書き、印鑑で押印していれば、基本的に法的に通用する遺言書となる訳です。


 

問題はこの遺言をそのまま使うと・・・
この10年間の間に他の財産が増えなかったと仮定して。
遺言状に書かれた財産が生前に処分されて存在しない時は、その部分の遺言は撤回扱いになります。
これは民法の1024条に規定されています。

 

第千二十四条 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

 

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 

引用:法令検索E-GOVの民法

 

民法1024条が適用され、遺言者の妻には一切の財産を相続できない状態になります。
娘が全財産を相続する形になってしまいます。

 

完全に遺留分を侵害して、娘と母の仲が悪ければ、争族に発展する可能性が非常に高い物に。

 

また遺言書に載っていない財産の分け方は遺産分割協議になります。

 

 

遺産争いを防ぐ目的で作った遺言書が争いの原因になるとは、なんとも皮肉な話です。
この様に遺言状が原因で紛争が起こる事もあります。


新しい遺言書が出てきた場合

2通の遺言書が出てきた場合
次は2通以上の遺言書がでて来た場合です。
この時の取扱も民法にて定められております。
民法の1023条に条文が存在します。

 

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

 

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 

引用:法令検索E-GOVの民法

 

例えば上記の遺言状で、銀行預金の相続者が長女から妻に変更された場合は、古い遺言状の預金部分が撤回されて、新しい部分が効力を発揮すると言う訳です。

全員の納得で遺言書以外の分割も可能

遺言書の有効期限に関する4コママンガ
4コママンガにある様に、相続人全員の納得と承諾があれば、遺言書の内容と異なった分け方が可能になります。

 

遺言書を書く目的の大半は、親族間で争いを防ぐために書くものです。
その目的が果たせないなら、全員で遺産分割協議を行って、相続人どうしが納得できる方法で遺産分割する事が可能です。

 

 

遺言書の効力、期間の期限や無効になるケースはあるの?でした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。


この記事を書いた人

 

行政書士 山田 和宏

 

行政書士やまだ事務所 所長

日本行政書士会連合会 13262553号

大阪府行政書士会 6665号

申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)

大阪府行政書士会 国際研究会会員

大阪府行政書士会 法人研究会会員

 

【適格請求書発行事業者】

インボイス登録済

番号:T1810496599865

 

【専門分野】

相続手続きや遺言書作成のサポート

丁寧な仕事やこまめな連絡に定評あります。

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