
この記事は、生前事務委任契約と契約前に知っておくべきポイントや注意点をご紹介します。
後見契約を使うまでは無いけど、財産管理などで誰かのサポートが欲しい時に使うものです。
生前事務委任契約とは、自身の身体機能の低下(歩くのが辛いなど)に備えて、余裕のあるうちに日常生活の支援を委任する契約です。
内容的には任意後見契約と似ています。
違いは契約が発効するタイミングと目的が微妙に異なる部分です。。
生前事務委任契約は、身体の衰えで銀行や役所に出向いて手続きするのがキツイ人を対象にした契約です。
任意後見契約は、認知症など判断能力を欠く常態にある人の財産を保護する為にあります。
どちらも高齢者の財産を守るための制度ですが、使用するタイミングがことなります。
ここからは生前事務委任契約の効果をご紹介します。
この二つが契約のメインになります。
まずは財産管理から
大体は銀行や役所への手続きを高齢者に代わって行うものです。
次は医療看護のお手伝いです。
病院や介護サービスに関するサポートで、高齢者の生活の質を高める為。
ここからは生前事務委任契約のメリットをご紹介します。
契約の良い所は3つあります。
何度も書いていますが、任意後見がカバーしきれない部分をサポートするのがこの契約の目的です。
将来的に体力・気力の低下で、判断能力の衰えを考えるも、家族や親族は自分の家から遠くて頼れない。
また近所に住んでいるけど、何度もお願いするのに気が引ける場合などに検討されると良いでしょう。
ぶっちゃけると生前事務委任契約を結ばなくても、財産管理や医療看護のサポートは可能です。
その方法は手続きの度に委任状を発効することです。
銀行の出し入れや役所にお使いに言って貰う度に、委任状を作って印鑑を押す行為が面倒でなければです。
何か頼むごとに委任状を発効するのは、非常に煩雑な行為だと思います。
生前事務委任契約は、上記の代理を包括的にお願いする契約です。
一度、締結すれば契約期限の間は(原則的に)委任状の発効は不要になります。
時折、一部金融機関や役所などで、生前事務委任契約の事を知らない担当者にあたると、
委任状を求められるケースがあります。
これを防ぐために、良く行く銀行や郵便局、市役所などに、委任者と受任者(代わりに行く人)が揃って、窓口に挨拶をしておくのも有効な手です。
これからは委任者の○○の代わりに、私〇△□が御行に参ります。
みたいな挨拶して、事前に教えておきます。
生前事務委任契約は、専門家(行政書士)や専門業者が相手方になります。
契約で縛られた第三者(プロ)が、委任者の財産を守ります。
時折、士業などの専門家が高齢者の財産を使い込んだという事件を見聞きしますが・・・
件数的には、親族の使い込みの方が圧倒的に多いです。
(親族間なので事件化する事が少ないだけ)
最高裁によると、成年後見制度の利用者が受けた着服被害は、統計を取り始めた2010年6〜12月が111件で、総額は11億3000万円、2011年が年間267件で総額30億9000万円と増えていき、2012年には前年比1.5倍の575件、被害総額45億7000万円に上っています。加害者は90%以上が親族後見人と見られるそうです。
https://gentosha-go.com/articles/-/1604
引用元:幻冬舎オンラインより
データは古いですけども、横領は圧倒的に親族後見人が多い事が分かります。
親族による財産の使い込みは意外と多いのが現実です。
最後は契約を締結する前に注意するべきポイントをご紹介します。
契約自体は書面無しの口約束でも、チラシの裏に書いた契約書でも有効です。
しかし外部に向けて、事務委任を証明する場合は公証人が間に入って行う公正証書の方が信頼性が高いです。
適当な契約書だと、勝手に偽造したと思われるリスクが有ります。
生前事務委任契約にて、受任者に渡す権限は慎重に定めましょう。
基本的には、契約で出来ることを限定するのがベストです。
特に不動産の売却や定期預金の解約など、財産に多大な影響を及ぼす内容は権限に含めないなどの防御策が必須です。
重要な契約行為は、委任者の特別な承認が必要や、個別に委任状を作成する形にした方が良いです。
委任契約には、依頼者が求めれば、受任者に報告義務があります。
契約書も、何かして貰う度に報告をしてもらう条項を入れておくことです。
そして報告内容を双方で記録することも重要です。
これも勝手な横領事件を防ぐために行うものです。
預金を下ろしてほしい時だけ、印鑑と通帳を渡すなど。
必要な時に必要な道具を渡す事を契約に盛り込む方が良いでしょう。
最後になりますが、本当に信用できる人と契約しましょう。
契約自体は家族や親族間でも同居者でも、問題なくできます。
ただ契約者に、立会や事務を行う時間や能力がある事が必要です。
また能力があっても、勝手なことをしないかを十分に検討する必要もあります。
周囲に契約が難しい場合は、専門家(行政書士)などに依頼する事をお勧めします。
専門家は法律で雁字搦めにされています。
生前事務委任契約とは?契約検討前に知っておくべき注意ポイントでした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
行政書士 山田 和宏
行政書士やまだ事務所 所長
日本行政書士会連合会 13262553号
大阪府行政書士会 6665号
申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)
大阪府行政書士会 国際研究会会員
大阪府行政書士会 法人研究会会員
【適格請求書発行事業者】
インボイス登録済
番号:T1810496599865
【専門分野】
相続手続きや遺言書作成のサポート
丁寧な仕事やこまめな連絡に定評あります。
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