おひとりさまの相続は生前対策がキモになります。
この記事はおひとり様の相続問題についてご紹介します。
自身が死去した後に、相続人が居ない状況になるとかなり面倒な事になります。
死後事務や相続でのトラブルを残さない為には、生前での対策が重要になります。
相続対策を立てずに亡くなった場合のトラブル
ここからお話するエピソードは、実際に有った話を元に作成したものです。
ある日、遠方の警察から電話がありました。
「貴方の親族がアパートで亡くなっているのを発見しました。」
そして
「親戚の遺体の引き取りをお願いしたい」と
急いで有給を取って他府県に出向き、遺体の引き取りと葬儀・火葬・埋葬を行いました。
その後に、彼(亡くなった人)が住んでいた部屋の大家から、
「家の中にある私物の処分とクリーニングの代金出してほしい」
「親族でないと部屋の私物に触れないから・・・」
と言われてしまいます。
彼とは親戚でも遠方に住んでいて、交流も殆どない従妹でしたが・・・
他人様に迷惑を掛けている引け目もあり、遺品の処分業者とリフォーム業者を呼び、私物の処分とクリーニングを手配。
2DKの部屋にあった私物は、2トントラック2台分にも及びました。
部屋のクリーニング台と合わせて、合計50万円自腹で支払うことに。
掛かった金は、本人の口座から回収しようと思っていましたが・・・
彼の口座と通帳を持って、銀行に行き事情を説明しました。
銀行員は、通帳からの引き出しを拒否。
相続人は誰も居らず、遺言書も残っていない状況でした。
「遺産分割協議書も遺言書もないので引き出せません。」
「お金を下ろしたいなら、裁判所で財産管理人を選任し・・・」
葬儀代+部屋の後片付けで掛かった費用を回収する為に、裁判所に数十万単位のお金と遠方の役所で面倒な手続きが必要と知って・・・
この人は諦めて、身銭を切って終わりにしてしまいました。
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※法的には家の片付けも法的に微妙ですが、知らない人にそれを言うのは酷な話です。
おひとり様が生前対策を行わずに亡くなると、この様なトラブルが発生します。
お一人様が残した財産は最終的に国庫へ
相続人が誰も居ない状態を相続人不存在と言います。
この相続人不存在の時は以下の流れで、遺産は国の財布に入ることになります。
- 遺産は相続財産法人になる(自動的に)
- 家庭裁判所が相続財産管理人を選任
- 相続財産管理人がプラスの遺産から残った支払いを行う
- 最終的に残った遺産は国庫へ
メチャクチャ端折ってますが、概ねの流れはこの様になります。
相続財産管理人の選任を請求できる人たちは以下の通りです。
- 遺産の一部または全部の分与を請求したい特別縁故者
- 被相続人に債権者
大抵は債権者が申し立てる事が多いです。
大家とか、市町村、税務署、銀行など
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相続人の居ない相続人不存在の遺産は、この様な流れで最後は国庫に辿り着きます。
おひとり様の相続対策
お金はどれだけ貯め込んでも、あの世には持って行けません。
かと言って、国に全部召し上げられるのもちょっと・・・という場合。
生前対策をする事で、お世話になった人に遺贈するや母校、慈善団体などに寄付する事も可能です。
方法としては以下の4つの手段があります。
(突飛な手法もご紹介しております。)
- 遺言書を書く
- 養子縁組で相続人を作っておく
- 生前贈与を行う
- 亡くなるまでに全部使い切る
遺言書を書く
死後の財産の処分方法で一番確実なのは、遺言書を書くことです。
自分の遺産を相続人以外の人に遺贈する場合は遺言書が絶対要件になります。
- 自分の遺産を遺贈させたい人がいる
- 母校や図書館に寄付したい
遺言書は大きく分けて二種類あります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
確実性を取るならば、公証役場で作る公正証書遺言をお勧めします。
(公証人への手数料や専門家への報酬)
- 注意点
- 遺言執行者を決めておく
- 遺言書の存在を伝えておく
- 場合によってはマイナス遺産も受け継ぐリスク
- 贈与税がかかる可能性
遺言執行者を決めておくと、財産の移転がスムーズに行きます。
遺言書に遺贈すると書かれた方は、実質的に相続人と同じ扱いになります。
(マイナスが大きい時は放棄も可能)
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最後に遺言書の存在を知っておくことです。
知らなければ、遺したい人に財産が移転する事はありません。
養子縁組で相続人を作っておく
おひとり様の相続対策で、養子縁組も有効な方法です。
自分の財産を受け継いでもらいたい人が居る場合に有効な手です。
おひとりさまが亡くなった時に、養子は法定相続人になります。
養子が一人なら、余計な物は不要です。
- メリット
- 遺言書や相続財産管理人など面倒な物が不要
- 相続税が軽くなる(控除がある)
- デメリット
- 養子・養親間で扶養義務
- 法律上、親子関係になる
- 相続時は借金も受け継ぐことに
- 養親の姓を名乗ることに
養子縁組の方法は、未成年の場合は実父母の承諾が必要だったりと制約があります。
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養子縁組は、メリットが相続税が軽くなる程度なので現実的な手法ではないですね。デメリットも大きいですから。
生前贈与する
3番目の手法は、おひとり様が生きている内に財産を分け与える方法です。
資産家が毎年110万円づつ、子供や孫に贈与する話は有名な相続税対策です。
贈与する物は、現金である必要はありません。
宝石でも車でも不動産でも何でも大丈夫です。
(110万円を超えると贈与税が発生)
- 注意点
- 毎年、贈与の契約書を作成する
- 贈与する日付をバラバラにする
- 亡くなる3年前の贈与は相続税の対象に
- 贈与し過ぎて、自分のお金が無くなる
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贈与のし過ぎて、自分の財産が無くなってしまった事例は意外と多いです。
自分が亡くなるまでに使い切る
最後の生前対策?です。
自分が死ぬまでに、築き上げた財産を全部使い切る事です。
(葬儀代くらいは遺した方が良いかなと思う)
遺言書だ、財産管理人だ、養子だと面倒な事は一切考えずに
パーッと使い切るのも悪い選択ではないと思います。
自分の財産を継がせたい人が居ない場合は有効です。
ある意味で潔い人生だと思います。
(その生き様に痺れます!憧れます!)
- 美味い物を食べる
- 行きたかった場所に旅行する
- 欲しかった物を遠慮なく買う
散財している間のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)は爆上がりです。
デメリットは、想像以上に長生きした場合です。
自分の寿命を読み間違えると、晩年は素寒貧になってしまいます。
それもまた人生かなと思います。
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おひとりさまの相続対策でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。