死亡後の手続き代行|依頼先の選択肢や気になる費用相場は?

死後事務委任契約で死亡後の手続き代行を

死後事務委任契約とは

 

この記事は死亡後の手続きを代行する為の死後事務委任契約の事や依頼先、相場についてご紹介します。

 

死後事務委任契約とは、民法の委任契約の一種で、依頼者の希望通りに死亡後の様々な手続きする代理人を契約で決める契約です。

 

死後委任事務を4コマ漫画で紹介

死後事務委任契約の4コママンガ
親しい人が亡くなると、悲しみに浸る間もなく様々な手続きに追われる事になります。
この時期に色々な判断を書類作成を強いられるのは、精神的にも肉体的にも厳しい面があります。

 

また独身のおひとり様の場合、自分の死後の後始末をしてくれる人が居ない状況になります。
他人様に迷惑をかけたくないから、死後委任事務契約を結ぶ人も大勢います。

死後委任事務の契約先と相場

死後事務委任契約の依頼先と相場
死後委任事務のご紹介の前に、依頼できる場所と相場について簡単に触れておきます。

 

依頼先は大きく分けて二つ有ります。
行政書士などを始めとする士業事務所と終活関連の事業を展開する企業や団体です。

 

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 弁護士
  • 終活の専門業者

死後事務委任契約の価格相場

次に気になる価格ですが・・・
士業事務所や業者に、依頼する内容で価格は変わってきます。
基本的には、終活の専門業者の方が価格は高い目となっています。

 

相場は概ねで

  • 士業事務所:100万円~
  • 業者:150万円程度

 

多くの方は不思議に思うでしょう。
自分の死後に区役所などで手続きするだけで、100万単位のお金が掛かるのか?

 

答えは死後事務委任契約は、報酬部分よりも葬儀や入院代などの精算部分が有るからです。

 

  • 葬儀~納骨
  • 病院への支払い
  • 各種未払いの料金

 

 

お預かりする金額が100万円でも、各種料金の精算を引くと報酬部分は20万円から30万円程度になります。これが高いか安いかは依頼者しだいです。


 

依頼する業者選択の基準

死後委任事務は、依頼者の状況に合わせて行うオーダーメイド的な部分があります。

 

そしてサービスの内容も士業事務所や業者ごとに全然違います。
当然ですが、してもらえる内容と価格は正比例の関係にあります。

 

なので、当サイトを始めとするHPや資料をよく読んだ上で比較検討してください。
気になった事務所の方とお話してみてください。

 

担当者や事務所が信頼できそうだと思われたら、そこに依頼すれば良いと思います。
信頼できるか否かの試金石になる場所は

 

  • 相談者の話を最後までキチっと聞いてくれる
  • お金儲け主義の団体ではない
  • フィーリングが合う

 

遺言書や死後事務委任契約は、一つとして同じ物はありません。
話をキチンと聞かないと、適切なプランを設計することは不可能です。

 

後は担当者との相性ですね。
どれだけ優秀な方でもフィーリングが合わなければ、貴方の望んだ形での依頼は難しいと思います。

 

 

あとは、その事務所や会社に安心して、安くないお金を預けても大丈夫なのか?
これも重要なポイントですね。契約の効力が発生する前に、横領や廃業・倒産してしまえば元も子もないです。


 

2015年に死後委任事務契約の請負を日本全国で展開していた日本ライフ協会という団体が、預かっていたお金を横領して倒産した事例もあります。
3億円近いお金を横領して、内閣府から是正勧告を受けて民事再生法の適用を受ける事になったとあります。

 

28年1月、内閣府から「利用者から集めた預託金8億8376万円のうち2億7412万円を他社への融資などに流用し、公益認定における適切な措置を講じていない」などとして是正勧告を受ける事態となり、事業継続に支障をきたした。このため、事業継続の可能性をはかるため2月1日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し3月3日、民事再生開始決定を受けていた。

 

https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20160513_01.html

 

引用元:東京商工リサーチ

 

この様に大手と言われる様な業者や公益財団法人でも、倒産することがあります。
特に死後委任事務契約は、発効するのに10年や20年後という特殊な契約になります。

 

自分が居なくなる時に、事務所や業者が残っているかも重要なポイントです。

 

死後事務委任契約について

死後事務委任契約の内容
ここからは、死後事務委任契約についてご紹介します。

 

最初で申し上げましたが、自分の死後に発生する細々とした手続きを代理で行う契約です。
死後に発生する手続きは大きく分けて二つあります。

 

  • 亡くなった方の部屋の引き払い等の後片付け
  • 残された財産の分配

死後事務委任契約と遺言状の役割分担
上記の二つの手続きは、遺言状だけではカバーする事ができません。

 

  • 遺言書:財産の相続に関してのみ
  • 死後事務委任契約:相続以外の手続きを行う

 

この二つの書類を組み合わせることで、依頼者の死後の手続きが完遂できる仕組みになっています。

死後委任事務契約の流れ

死後事務委任契約のながれ
ここからは実際の死後事務委任契約のスケジュールを見ていきます。
流れは大きく分けて8つの工程に分類されます。

 

図解作成の便宜上、①から⑧と書いていますが・・・
実務的には順番が前後したり、同時に行います。

 

これ全部を1か月から2か月程度で全部片付ける事になります。
正直、かなりタイトでハードな仕事です。

 

 

また①が始まる前に、依頼者、病院、葬儀社など様々な関係者との意見調整もあります。


 

依頼者が亡くなった時

病院や警察から、依頼者が亡くなったと連絡があれば、おっとり刀で駆けつけます。
病院などで死亡届と死亡診断書や遺体の引き取りを行います。

 

次に葬儀社と連携して、以下の事を一気呵成に行います。

  • 遺体の搬送
  • 葬儀の日程
  • 斎条の確保
  • 関係者(参列者)への連絡

 

あと遺体の引き取りと同時に、病室にある私物の引き取りも行います。
(多くの場合、24時間以内に引き払いを要求されるため)

葬儀・火葬

依頼者の葬儀を執り行います。
喪主は、依頼者の親戚縁者がなる事が多いですが・・・

 

 

身よりのないおひとり様の場合は、受託者(行政書士など)が喪主を務める場合も珍しくありません。


 

葬儀の段どりの大半は、葬儀屋さんが行ってくれます。
葬儀が終われば、遺体を火葬します。

 

火葬するには、死亡届を市町村役場に提出する必要がありますが。
多くの場合、葬儀社の担当者がやってくれます。

 

火葬が終われば、死亡届は埋葬許可証に変わります。

埋葬

遺骨を依頼者が希望した形で埋葬します。

 

骨壺の保管方法は、お墓に入れる以外にも色々な方法があります。

 

  • 手元供養:骨壺を家に置いておく
  • 墓に納骨:お寺や霊園
  • 永代供養の納骨堂、合祀墓:都市部にあるマンションタイプの墓
  • 樹木葬:霊園の樹木葬可能なエリア
  • 散骨:海洋、宇宙など

 

ちなみに宇宙葬をする場合、120万円程度が相場です。
(ロケットを使う為か、高額ですね。)

免許証の返納など行政手続き

埋葬が終われば、今度は保険証の返納などを行っていきます。

 

  • 役所へ返却
  • 国民健康保険証
  • 後期高齢者医療保険証
  • 介護保険証
  • マイナンバーカード
  • マイナンバー通知カード
  • 住基カード
  • 印鑑登録証
  • 運転免許証
  • パスポート

 

  • 年金の停止
  • 年金受給者死亡届

 

  • 未払いの税金の精算
  • 固定資産税
  • 住民税
  • 自動車税
  • 軽自動車税
  • エトセトラ

 

 

1月1日に今年度の固定資産税や自動車税の支払い義務が発生します。現段階で請求書が無ければ納税管理人を選任する必要があります。


介護施設や病院への支払い

依頼者が入所していた介護施設や病院に、未払いの利用料や入院代があれば、これも精算します。

 

この様に死後事務委任契約は、色々な所でお金の支払いが発生します。

 

住居の引き払いと片付け

依頼人が賃貸住宅に住んでいた場合、様々な作業が発生します。

 

  • 賃貸借契約の解約
  • 敷金の返還
  • 原状回復
  • 未払い家賃の支払い
  • 部屋の引き払い
  • 鍵の返却
  • 郵便物の転送届

 

賃貸借契約の解除は、申し出から1か月から2か月必要なため家賃が余分に支払う必要が出てきます。

 

部屋の引き払いは、遺品整理の専門業者が担当する事が多いです。
(一人で部屋を片付けるのは現実的ではない)

公共料金など各種契約の解除

次は依頼人が行っていた各種契約を解約していきます。

 

  • 電気・ガス・水道
  • 家電・スマホ
  • インターネット
  • 新聞・雑誌など定期購読
  • クレジットカード
  • 電子決済(PayPayなど)
  • 契約していたサブスク
  • 各種会員
  • インターネットサービス(SNSや電子メール)

 

 

エンディングノートなどに加入していたIDなどが有ればラッキーですけど、無ければ請求書やDM、片っ端から連絡するなど非常に手間がかかります。


勤務先への退職届

亡くなられた依頼者が、何処かで働いていた場合は会社へ退職手続きを行います。

 

  • 退職届
  • 社員証の返還
  • 健康保険証の返還
  • ロッカーの鍵を返す
  • 私物の持ち出し

 

 

死亡後の手続き代行、依頼先の選択肢や気になる費用相場は?でした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。